症状や治療が“つらい”と感じた時主治医に上手く伝えるには| 乾癬治療【明日の乾癬 by UCBCares】

専門医に聞く乾癬治療

症状や治療が
“つらい”と感じた時
主治医に上手く伝えるには

お話を聞いた先生はこちら

医療法人社団 高木皮膚科診療所
院長

高橋英俊
先生

「不安や悩みを相談したい」と思っていても、言い出せないという経験をしたことはありませんか。乾癬の患者さんの場合は、家族や友人にも“つらさ”を打ち明けられず、一人で抱えて悩んでいる方も少なくありません。患者さんに寄り添う診療を実践する高木皮膚科診療所 院長の高橋英俊先生は、「些細なことでも、医師にその“つらさ”を伝えてほしい」と語っています。

多くの乾癬患者さんは、人に言いづらい
“つらさ”を抱えています

乾癬の主な症状には、皮膚が赤くなって盛り上がる「紅斑」、カサカサして白く細かいカサブタになる「鱗屑りんせつ」、それがフケのようにボロボロはがれ落ちる「落屑らくせつ」などがあります。また、爪の病変が現れ、頭皮や生え際に皮疹ができ、フケのように付着します。
乾癬の病状が表面化することで、患者さんは人目が気になり、ストレスを感じることが多くなります。そのため、外出を避けるなど行動範囲が狭まったり、仕事で職種が制限されたりするなど生活の質(QOL)の低下につながります。また、乾癬患者さんの15%が発症する乾癬性関節炎1,2)では、関節の痛み、全身の痒みなども生じます。
こうした乾癬の症状による体と心の“つらさ”は、家族や友人に打ち明けにくく、医師にも相談しにくいことがあり、患者さんにとって深刻な問題になっています。実際、患者さんは私たち医師を目の前にすると、具体的な痛みや痒みなどがある場合を除き、自ら病状について伝えることがあまりできないようです。初診の方や受診回数の少ない方だと、この傾向が更に強いように見受けられます。

薬を塗る大変さや落屑の悩みなども
遠慮せずに医師に話しましょう

私の診療所では、患者さんから“ つらさ”を引き出すために、たとえば、問診票で確認する事項(表)のほかに
・日常の生活で困り事はありませんか?
・外用剤(塗り薬)を塗るのは大変ではありませんか?
・仕事上で支障はありませんか。大丈夫ですか?
と話しかけるようにしています。

高橋先生が問診票で患者さんに聞く事項

◇症状はどこにありますか?
◇いつごろからですか?
◇次のような症状はありますか?(かゆみ/ いたみ/ その他)
◇現在飲んでいる薬はありますか?
◇(女性の方へ)妊娠している可能性はありますか?

すると、患者さんからは、
「塗る範囲が広くて大変なので、ほかに良い薬はないですか」
「フケがとても気になります」
「痛みがおさまらず仕事にならない。生活でも困っています」
といった答えが返ってきます。このような困り事はしっかり医師に伝えて良いと思います。
治療を始めて1 ヵ月以上経っても病状の改善があまりみられない場合、私は、
・ 発疹があまり良くなりませんね。つらくありませんか?
・日常の生活でお困りですよね?
と話しかけ、その返答内容を踏まえて治療計画を立てます。

たとえば、塗り薬を使い始めた患者さんから「薬が効いていないような気がする」と言われれば、塗る量や塗り方を確認し、それでも病状が改善されない場合は「治療をステップアップ(図)するための薬がありますが、どうされますか」と伺うようにしています。また、たとえば、「薬が塗りにくい」と言われれば、軟膏やクリーム、ゲル、泡(フォーム)など様々な剤形から、好みや病状に応じて違うタイプに変更します。
医師には言えなくても看護師さんには言えるという方もおられるので、私の場合は、看護師が軟膏の塗り方を指導する際に、患者さんから「もう少し症状を抑えたい」などの意向を聞いた時は、その情報を共有し診療に生かしています。また、診療時に看護師に同席してもらうなど、患者さんが“つらさ”を打ち明けやすい雰囲気づくりも大切にしています。

医師には具体的な情報とともに
“つらさ”を伝えることがポイント

このように、私の場合はこちらから尋ねますが、そういう会話をされない医師もいるかと思います。
でも、そうであっても、つらい時は、その状況をしっかり伝えましょう。
その場合は、「いつ」「どこで」「何をした時」につらいと感じるのかを、具体的に話していただくと良いと思います。
たとえば、次の例の表現を参考にしてみてください。
「日常生活の中で物の上げ下ろしがつらい」
「夜眠れないほど痛み(痒み)がある」
「本来やっている〇〇の仕事が、体がつらくてできない」
また、医師に見せづらい部位に患部がある場合は、診療前にスマホ等で患部を撮影し診察時にその画像を見せるという方法もあります。

主治医に言いにくければ看護師に。“つらさ”を抱え込まないことが大切

医師は、患者さんの「病状」を最も理解していますので、「こんな些細なことは医師には言えない」と思っても遠慮せずに、その抱えている“つらさ”を話していただくほうが、“つらさ”を軽くする上でより効果のある治療につながると思います。もし医師には言いづらいのであれば、看護師や院内のスタッフに話していただければ、医師に伝わります。
私が医師になった頃に比べ、今は治療の進歩により症状のコントロールがしやすくなり、尋常性乾癬であれば、ほとんど発疹がない状態まで改善できるようになりました。患者さんによっては、治療後には支障なく日常生活を送り、温泉やプールに出かけている方も少なくありません。関節炎の痛みもかなり減らせます。ですので、決して諦めずに通院を続けていただきたいと思います。
不安や悩みがあれば、躊躇することなく医師に相談してください。そうすることで、症状改善の道は開けていきます。

「Rebrand Yourself vol.3」2022年9月掲載

エクササイズをはじめるなら
「明日の乾癬」アプリが便利

App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう