とちぎ乾癬友の会 | 支援制度とサポート 【明日の乾癬 by UCBCares】

ようこそ! 患者会

とちぎ乾癬友の会

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現在、日本全国に24の乾癬患者会があり(2023年2月現在)、それぞれ独自に、
乾癬に対する正しい知識、患者同士の交流・情報交換、専門医を講師とする勉強会、会報やSNSによる情報発信などを行っています。
今回は、その1つである「とちぎ乾癬友の会」の代表を務める菅井順一先生と事務局長の山下織江さんにお話をお伺いしました。

「患者さんにとって必要」
と考えた医師が主導して設立

とちぎ乾癬友の会は、2008 年6 月に、全国では11 番目の会として誕生しました。立ち上げを主導し、現在も相談医を務める菅井順一先生(自治医科大学皮膚科学 非常勤講師)は、設立に至るまでの経緯をこう振り返ります。
「長らく乾癬という病気に携わる中で、栃木県にも患者会があったほうがいいのではないかという話を耳にしていました。そこで、隣の群馬県の患者会に参加させていただき、“これは医師の立場で必要かどうかを検討するものではなく、患者さんに必要な会なんだ”という強い思いが湧いてきました。このことを自治医科大学皮膚科の大槻マミ太郎先生や知人の女性看護師に相談し、一緒に患者会を作ろうという流れができ、実現に至ったわけです」。
記念すべき発足初日には、1 回目の学習会を開催。患者さん、ご家族、医療関係者が約180 名も集まり、菅井先生も大変驚いたそうです。圧倒的に多かったのは患者さんでした。「会の設立意義を実感したものです」と菅井先生は感慨深げに語ります。

とちぎ乾癬友の会の基本コンセプトは、「患者・家族」「医師」「医療関係者」の3者によるトライアングル

医師にとっても貴重な
「患者さんの本音を聞ける」場所

患者さんにしてみれば、こうした学習会の後に開催される懇親会は、乾癬についてふだん診察室では聞けないような悩みなどを直接質問することができる場です。一方、医師にとっては、患者さんの本音を聞くことができる機会となります。
「この本音の中に、たとえば、患者さんはどんな気持ちでいらっしゃるのか、患者さんへどのように説明すれば理解していただけるのかなど、私たちの日々の診療に役立つヒントがたくさんあるわけです。
また、結婚願望があるけれど心配が多いという女性患者さんにとっては、診察室で医師から言われる“大丈夫”と、実際に結婚生活を送っている患者会の先輩女性から言われる“大丈夫”とでは、重みが全く違います。結婚に関する心配事の一つひとつについて、患者会の会員の患者さんがどのようなアドバイスをするか、そのアドバイスを受けた患者さんがどれほど安堵の表情を見せるか、そうしたやり取りを目にするだけでも、医師として勉強になります」(菅井先生)。

医師・医療者・患者さんのボランティア
により、会費・参加費は無料

現在、「とちぎ乾癬友の会」の会員は約200 名。他の患者会との大きな違いは、医師主導で運営をしていることです。そのため、年会費が無料というだけでなく、学習懇談会やイベントなど、患者会の主催する会には、すべて無料で参加できます。
同会の催しについての患者さんへの情報提供は、患者会の活動を支援する「サポーターズホスピタル&クリニック」が直接患者さんに告知しています。この「サポーターズホスピタル&クリニック」は、日本皮膚科学会栃木地方会に入会している施設のみが登録可能で、県内の大学病院や皮膚科クリニックなど、現在7 施設が登録しています。
菅井先生は、「先生方から勉強会に患者さんを紹介してくださるのは嬉しいこと。けれど、もっと嬉しいのは一緒に参加してくれることです。患者さんたちの様々な声をしっかり聞いて欲しいと思うからです」と後に続く医師の参加への願いを語ります。
事務局の業務は、患者さんのほか、看護師さんや薬剤師さんたちなど、多くのボランティアに支えられているそうです。会費やイベントの参加費が無料なのは、「患者さんたちに負担をかけたくない」という一心から。同会の事務局長を務める山下織江さんは「こんなにも私たちのことを親身に考えてくださる先生には、本当に“ありがとうございます”という感謝の思いしかありません」と話します。

菅井順一先生、山下織江さん

栃木での患者さんサポート活動から
全国規模の啓発活動にも参加へ

とちぎ乾癬友の会では、“正しい情報の提供”だけでなく、“医師と患者という垣根をなくし、人と人とがつながること”を重視しています。
「乾癬という病気を抱える方のことを理解してくれる人たちが、こんなにもたくさんいるということを、患者さんたちにもっと知ってもらいたい。つらくて治療を諦めている方もおられるかもしれないけれど、頑張ればもっと良くなることもあります。患者会では新たな出会いがあり、つながりができます。その中で、今まで見たことのない景色が見えてくるかもしれません」と、“一点突破、全面展開”をモットーとする菅井先生は熱く語ります。
そんな菅井先生の言葉通り、人生が変わったと言えるのが山下さんです。患者会を知ったのも、菅井先生とのつながりからでした。先生に誘われて、2008 年の1 回目の学習会に参加。その後、愛知県に引っ越してしまったため、いったんつながりが切れてしまったものの、8 年後に栃木に戻ってきてからは、また菅井先生に声をかけられ、宇都宮での乾癬学会や全国乾癬患者連合会のイベントなどに参加するようになりました。
「小学生の時に発症してからずっと、乾癬のことは人に話すべきではないと思っていました。なので、初めて患者会に参加した時は、乾癬について皆で話し合っていいということに驚きました。同時に、安心感で胸がいっぱいになりました。
それからも、患者会には何度も助けられ、同じ悩み、同じ気持ちを他の患者さんと分かち合うことの大切さを痛感しました。次第に、今度は誰かのために自分でできることがしたいと思うようになりました」(山下さん)。
山下さんは、同会の活動だけでなく、日本における乾癬の認知度を向上させるため、全国各地の乾癬患者会メンバー有志とともに2017 年に「INSPIRE JAPAN WPD」プロジェクトを立ち上げ、毎年10 月29 日の「世界乾癬デー(WPD:World Psoriasis Day)」の頃に、乾癬啓発イベントを開催しています。「INSPIRE JAPAN WPD」は2018 年に一般社団法人となり、世界乾癬デーイベントだけでなく、SNSを使った情報発信や全国各地での啓発活動にも継続的に取り組んでいます。
「2022 年は、とちぎ難病ピア・サポーターの養成研修を受講しました。ピア・サポートとは、同じ体験を持つ人が相互に支え合うという意味です。そのために必要な知識や技術を学べば、患者会で役に立つのでは…と考えました。乾癬の患者さん同士がもっと話し合う機会を増やせるよう、お手伝いしていきたいと思っています」(山下さん)。

患者さんだけでなく
患者さんのご家族にも参加して欲しい

とちぎ乾癬友の会は、これまで年2 回、6 月と11 月に学習懇談会を開催し、医療講演やQ&A、車座でのフリートークなどを行ってきました。そのほか、乾癬に関する情報発信、患者・家族の交流イベントの開催、座談会、旅行などの企画、全国の患者会との交流・連携を行うこともしています。
新型コロナウイルス感染症の影響で、ここ数年は対面式での活動は控えてきましたが、「できれば2023 年6 月には、学習懇談会をハイブリッドで開催したい」と菅井先生は考えています。
菅井先生が、特に参加を願っているのが、患者さんの家族の方々です。患者さんと一緒でも、あるいはご家族だけでもいいので、ぜひ参加して欲しいそうです。
「患者さんのご家族でも、乾癬がどういう病気なのか正しく理解していない人は多いのです。そのため、患者さんの中には、たとえば背中に塗り薬を塗って欲しいと家族に言えないなど、つらいことや困っていることを伝えられないという人も少なくありません。ご家族が病気について正しく理解してくだされば、どのようなことに困っていて、どのようなサポートがあれば患者さんが助かるのかが、わかっていただけるかと思います」。

若い人に届くメッセージを
工夫していきたい

乾癬は、まだまだ知られていない病気ですから、患者さんの中には悩みや不安を一人で抱え込んでしまっている人もいるはずです。また、患者会というと、高齢の人が集まる会というイメージがあり、若い人は参加しにくいかもしれません。
「だから、これからは若い人たちへもっとメッセージが届くようにしていきたい。悩みや不安は、患者同士や信頼できる医療者と話すことで軽くなることを実感して欲しい。情報を共有しながら励まし合っていきたいと心から思っています」と菅井先生と山下さんは抱負を語りました。

「Rebrand Yourself 2023 Vol.4」2023年 10月掲載

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