信頼している主治医の先生と一緒に治験にチャレンジして寛解しました。| わたしの乾癬物語【明日の乾癬 by UCBCares】

みんなの乾癬物語

信頼している主治医の先生と一
緒に治験にチャレンジして寛解
しました。

お話を聞いた
患者さんはこちら

CHAPTER 07

坂下 義之
さん

乾癬を初めは牛の感染症と思っていた坂下義之さん。手足口病の発症や足の大ケガなどに見舞われながらも、信頼できる主治医との出会いや家族の支えで寛解を果たし、元気にお仕事を続けていらっしゃいます。発症からの約20年の経過をお話しいただきました。

乾癬発症後に手足口病に感染、
更に軟骨と半月板を損傷するケガも

発症した時の様子と、その時のお気持ちを教えてください。

両手の小指と薬指の辺りが白く丸くただれて、白い粉が吹くような状態になっているのに気付いたのが最初です。2002年のことでした。
私は酪農家なので、最初はよく似た症状が出る牛の皮膚病に感染したと思いました。目の上とか首に500 円玉くらいの湿疹やイボがポツポツ出る、通称“がんべ”と呼ばれる皮膚症状とよく似ていたので、「あぁ、がんべが感染ってしまったんだ」と。酪農の世界ではよくあることなので、驚くことではなかったわけです。
ただあまりにも見栄えが悪いので、病院で診てもらったところ、やはり「牛の皮膚病の感染」という診断で、軟膏をもらいました。その病院にはその後ずっと通いましたが症状は改善せず、2012 年の12 月には、今度は手足口病を発症してしまいました。

手足口病はウイルス性の感染症で、5 歳未満の子どもが9 割を占めていて
(厚生労働省「手足口病に関するQ&A」2013年)、大人のほうがかかると重症化しやすいそうですが。

体中に発疹が出て、両手10 本のうち6 本の爪が剥けて、かなり痛かったですね。まだ乾癬とは知りませんでしたから、あちこちに出た発疹をかきむしってしまい、ますます発疹が増えてしまいました。
そこで、手に負えない症状があれば駆け込む馴染みの皮膚科クリニックに行きました。そこで初めて牛の感染症ではなく乾癬と診断されました。もっと早くにここを受診すれば良かったと思ったものです。2014 年4 月のことでした。
とにかく乾癬よりも手足口病がひどくなり、両足の脛すねから足首まで、表側も裏側も皮膚が真っ白になりました。特に脛のところの病変がかなり大きく、人には見せられないような状態でした。
更に、仕事でケガをして膝を傷めてしまったんです。

どのようなケガだったのですか。

右足の軟骨損傷と半月板損傷です。骨切り術をしなければ治らないと言われたのですが、患部に乾癬が出ていて手術ができませんでした。
結局、患部に塗り薬を一生懸命に塗って乾癬を抑えた後、手術をしてプレートを入れました。その間も仕事をしていたのですが、無理をしてしまい、内側側副靭帯と前十字靭帯損傷を起こして、ほとんど歩けない状態になりました。このときも患部に乾癬が浸潤していたので、まずは2 ヵ月間位、乾癬の治療をして、その後に膝の手術をしました。

生物学的製剤は効かなかったが諦めず治験に参加して寛解

治験を始めたきっかけは何ですか。

手術の後、皮膚科クリニックの主治医の先生からの紹介で、2015 年から新しい生物学的製剤の治療を受けました。最初のうちは効いていたのですが、効かなくなってきたので中止して、再び塗り薬で対応しました。
主治医の先生から治験のお話をいただいたのは、その数ヵ月後です。期間は2016 年から2021 年の11 月まで。「長いけれど、やってもらえることは全部やってもらおう。これで治らなければ仕方ない」と思ってチャレンジしました。治験の結果、発疹はほぼ消失し、寛解状態になりました。少し黒い部分が残り、これは乾癬があった場所だなというのがわかる程度です。肘には1 円玉位の発疹が残っているので、今は塗り薬を続けています。肘は仕事上どうしてもこすってしまう場所なので、治りにくいのではないかと先生から言われています。

なかなか症状が改善しない時は、どうしていましたか。

私はストレスが溜まると、たくさん食べてしまうタイプなので、膝をケガして思うように動けなかった間に26 キロも太ってしまいました。乾癬に良くなかったと思っています。
あと、北海道といっても十勝の夏の気温は33 度以上になります。乾癬には紫外線が良いと聞いていたので、トラクターに乗る時はT シャツと短パンになって、一生懸命に紫外線を当てたこともありました。でも、顔や腕が真っ赤になるだけで、私の場合、紫外線の効果はあまりなかったようです。
生物学的製剤でも改善しない状態だった時は、乾癬やアトピーの治療効果が期待できる湯治湯として有名な豊富温泉にも行ってみました。石油や天然ガスとともに黄濁した温泉が湧き出していて、白いタオルが真っ黄色になるくらい。石油臭もすごいので、苦手な人もいるでしょうね。油分に含まれるタールによって乾癬の炎症がおさまると考えられているそうです。乾癬やアトピーのお客さんでいっぱいで、名古屋や京都から来ている人もいましたね。この温泉は、私の家から5 時間以上かかるので、結局湯治はしていません。

軟膏や保湿剤は、現在どのくらい使っていますか。

夜、お風呂から上がって軟膏を塗り、翌朝、仕事に行く時にもう1 回塗るのを基本にしています。状態が悪いと感じる時は、昼間も塗ります。また、手洗いの後は、ハンドクリーム代わりに軟膏を塗るのが習慣になっています。
軟膏と保湿剤は、常に持ち歩いています。車の運転をしていると、どうしても腕が日焼けしてしまい、そうすると小さな斑点がプツプツと出てきます。乾癬になったら嫌だなと思い、取りあえず軟膏を塗ります。症状が進行するのは避けたいので、ちょっと神経質になりがちですね。
スプレータイプの保湿剤も主治医から勧められて使うようになりました。パッと吹きかければ全体に馴染むので、膝の下に出る乾癬に向いています。
保湿剤は、皮膚がカサカサしてきたら早めに塗っています。特に冬はストーブを焚くので室内の空気が乾燥し、皮膚がカサカサになってくるので注意しています。

医師との強い信頼関係が
治療へのモチベーションになった

乾癬でつらい思いをしたことはありませんでしたか。

発症が50 代でしたから、若い人のように外見を気にする必要がなく、また牛の皮膚病の感染もよくある話だったので、あまり気にならなかったですね。飲み会にも普通に参加していました。
乾癬と診断された後も、精神的に滅入ることはありませんでしたね。もらったパンフレットを家族に見せながら説明しました。

「そんな面倒くさい病気だったのか」という反応でした。長男の嫁は看護師、次男は介護士、その奥さんが理学療法士、娘も介護士という家族なので、乾癬という病気についてみんな少しは知っていました。それぞれの職場で乾癬のお年寄りと接していることもあって「あぁ、そういうおじいちゃん、いたわ」という感じの反応です。一番わかっていなかったのは、私だったのかもしれません。
家内も「うつらないのなら問題ないんじゃない?」といった風で、あっけらかんとしていました。私の後にお風呂に入るのは嫌だとか、そういうのもなかったですね。友達は同じ業種の人間が多いので、「牛の皮膚病だと思っていたのに違っていたのか。それは大変だな」という程度でした。
それでも人前に出る時は、症状がひどければ人目に触れないように気を付けていました。人目が気になるからではなく、いちいち説明するのが面倒くさかったからです。もし自分が若かったらと想像すると、目立つ場所に発疹が出るのは精神的にきつかったと思います。乾癬を知らない人が多いので、「それ、うつるの?」などと言われると思いますが、その言葉は若い患者にとって一番つらいものだからです。

主治医の先生との関係はどうでしたか。

主治医の先生は私と同世代なので、言いたいことを言いながら治療してもらっています。私が「先生、頼りにしてるんだから頼むよ」と言うと、「大丈夫だ、任せとけ」と答えてくれるような先生で、何でも話せるので病院に行きやすかったです。
私は、あまり人の言うことを聞かない方ですが、先生に言われたら「はい」と返事をして、素直に言うことを聞きます。言われたことでできなかったのは、痩せることくらいですね。それとサバや納豆を食べるよう勧められたのですが、残念ながら私は魚が駄目なので、サバは食べられませんでした。
私の症状が良くなると「おぉ、良くなったな。これはいいぞ」と言ってくれたり、ちょっと痩せたら「おっ、痩せたか?」と認めてくれたり。まるで自分のことのように、あんなに喜んでくれる先生はいないと思います。
治療のモチベーションを保つためにも、やはり医師と患者との信頼関係は大事です。親身になって考えてくれる医師と出会ったことが、回復への近道だったと思います。

今後はどのように過ごしたいと思いますか。

学生時代からフライフィッシングが趣味で、屈斜路湖や阿寒湖などによくソロキャンプに行っていました。弟子もたくさんつくりましたが、膝を傷めて歩けなくなってからやめていたので、膝が治って動けるようになったら、また行きたいと思っています。
乾癬は一生治療しなければならない、完全に治らない病気なんだ、ということが不安ではありましたが、私はかなり治ったというのが実感です。もしも目の前に同じ病気で悩んでいる人がいたら、「心配することはないよ、治せる治療があるよ」と言いたいです。
もちろん、その人にピッタリ合うかどうかはわからないけれど、試してみる価値は十分ありますよね。それで以前の生活が取り戻せたら、これ以上の幸せはないと思います。

本記事の治療結果は個人の体験であり、
全ての人に当てはまるものではありません。

「Rebrand Yourself vol.3」2022年9月掲載

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