自分らしく働くための『わたしのトリセツ』の作り方(後編)

わたしのトリセツ

明日の乾癬 by UCBCaresが提供する「暮らしのヒント」では、日本マンパワーとコラボレーションし、病気をかかえながらも、心のバランスを整えながら自分らしく働く「自分との向き合い方」についてアドバイスをお届けします。今回は「自分らしく働くための『わたしのトリセツ』の作り方(後編)」です。

治療で変化していく心身のコンディションと仕事を両立するために、大切なこととはなんでしょうか。患者さんご自身の現在とこれからの“よりよいキャリア(職業人生)”を見すえて、働きやすい環境を整えるために、『わたしのトリセツ』となるものを、キャリアカウンセラー・田代晋也さんと一緒に考えていきましょう。

自分らしく生きるための“よりよい働き方”を考えるということ

前回は、『わたしのトリセツ』を作るためのプロセスの実践と、その鍵となる「レジリエンス(Resilience)」について語っていただきました。今回は、働きやすい環境を得るために整理したいポイントについて、詳しく教えていただきます。

治療と仕事を両立するカギとなる「レジリエンス」

前回は、治療と仕事の両立のカギとなるのが、「レジリエンス(Resilience)」であることをお話ししました。レジリエンスとは、しなやかで柔軟な考え、精神的な回復力といった意味で、さまざまな困難によって精神的ストレスがかかった時に、はね返し、立ち直ろうとする力のことを表しています。病気を抱えると、マイナスなことばかりに目がいきがちですが、今までコツコツと積み重ねたキャリアが意味のないものになるわけではありません。これまでの経験や努力の賜物は、自分の中にしっかりと存在しています。だからこそ、前回お話しした「自分を知るための6つのプロセス」の実践がポイントとなってきます。

自分らしく働きやすい環境を得る『わたしのトリセツ』

厚生労働省が公表した「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」では、がん患者だけではなく、がんを含めた色々な病気を抱えている人に対しても、就業上の適切な措置や治療に対する配慮を求めています。それは、症状や治療方法などが個人ごとに大きく異なるため、個別事例の特性に応じた「配慮」が必要となるからです。

そこで、職場定着や再就職に向けて、働く上での自分の特徴(症状含む)やアピールポイント、希望する「配慮」について、会社や職場にわかりやすく伝えるように整理する方法をご紹介します。また、信頼がおける方(キャリアカウンセラーなど)と一緒に作成することで、「自分だけでは気づけなかった特徴を把握できた」「それによって、自分の特徴をより理解することができた」「自分の特徴を理解してもらい、自分に合った配慮を受けることが出来た」といった患者さんの声もあります。では、『わたしのトリセツ』で整理してほしい5つのポイントを紹介します。

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① 通院と健康・安全について

ストレスや症状悪化などのサインへの対処方法として自分でできる事、配慮してほしいことを整理してみましょう。ここで、最も重要なものが、通院と服薬です。通院に必要な頻度(年、月、週の回数、曜日)、時間帯に応じ休暇を容易に取ることが出来る、フレックスを利用できるといったことなどが配慮項目となります。また、服薬については体調が悪い時に飲む薬があるため、その際には「作業を中断することを認める」などが配慮項目となります。

② 仕事の負荷と回復のバランスについて

疲労によって体調や症状の悪化・再燃を招かない働き方を考えてみましょう。例えば1日の勤務時間、1週間の勤務日数、残業時間、休憩の時間や回数、休日出勤など、疲労の蓄積の程度とその回復に必要な配慮項目になります。また、無多忙期になった場合、どの程度なら仕事の負荷をかけても大丈夫なのかという「自分の限界」を考えることも必要です。疲労の蓄積の程度とその回復のバランスが取れるように配慮してもらうことが重要となります。

③ 会社・職場でのコミュニケーションについて

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会社・職場の仕事内容を整理しましょう。そこから自分の強みが発揮できそうな職種・作業内容で、得意なこと(スキル)、やりたいこと(興味・関心)を伝えられるようにすることが大切です。仕事に関すること、職場内の人間関係構築、相手や職場に応じることを求められた時に必要な情報となります。

また、体調不良の時は仕事が辛いことがありますので、会社・職場に信頼がおける相談者をつくることをお勧めします。また、“職場の仲間”として受け入れられるようなスキルも重要ですので、前項で紹介したコミュニケーション方法、アサーション(Assertion)も参考にしてください。

④ 就業継続について

乾癬の症状に効果的な治療や手術のために、入院して集中的な治療が行われる場合もあります。入院・治療で休みが必要となった時には、速やかに主治医などから治療の見通しや就労に対する見解を聞き取るようにしましょう。また、スムーズに復職することが出来るよう、会社や職場に休職規定などを確認しましよう。今起きている状況を報告することは、会社・職場から信頼を得ることに繋がります。

⑤ 症状と職場環境について

乾癬の患者さんの症状にもそれぞれあり、職場の環境によっては症状の悪化・再燃やストレスを強く感じることもあるでしょう。職場環境でどんなところに困っているのかを整理することも必要です。例えば、日光を避けるため、外勤よりも内勤を希望する。体温調整や皮膚の炎症を避けるために半袖の制服は避けたいので長袖にしたいなど。ご自身の困りごととして、会社・職場に改善をしていただく希望を伝えることも大切です。

ひとりで抱え込まない。仲間との交流や、プロの力を借りるのも一手。

自分と向き合ったり、会社と交渉したりすることは、たやすいことではありません。病気の自分を受け入れて仕事を継続していく方法を導き出せるまでには、時間がかかる場合もあります。それを自分で見出せずに苦しまれる人も少なくありません。

そこで大切なのが、ひとりで抱え込まないことです。たとえば「患者会」など、同じ境遇の仲間やロールモデルなどを持つ方々と交流を持ち、情報収集や意見交換を行うと、道が拓けてくることがあります。 また、キャリアカウンセラーなどのプロに相談してみるのも一手です。あなたの併走者として、心の奥にある本当の思いを導き出しながら、客観的な視点でキャリア成長の道筋をつける一助になってくれるはずです。

田代先生が所属されている「日本キャリア開発協会(JCDA)」では、「30分無料相談」も行っているそうです。もしいま仕事と治療の両立で悩んでいる……という方は、キャリアカウンセラーに相談してみると、多角的な視点がもたらされ、自分らしく働き続けるための新たな気づきが得られるかもしれません。

両立支援カウンセリングへ(30分無料) https://www.j-cda.jp/about/hatarakikata/counseling.php

日本マンパワー

一人ひとりが、望ましい生き方・働き方を選択し、自己のキャリアを主体的に形成・発展することを通して、社会全体の進歩と成熟を図る。それが日本マンパワーの目指すところです。『「はたらく」に自分らしさを 誰もが夢中になれる社会を』という思いのもと、国家資格であるキャリアコンサルタントの養成や、企業向けのキャリア開発研修を中心に、これからを生きる人と組織のキャリア形成支援を行っています。

PROFILE

田代晋也さん/キャリアカウンセラー

現在、NPO法人熊本難病ネットワーク専務理事、NPO法人日本キャリア開発協会(JCDA)両立支援推進熊本担当(令和3年度)。半導体メーカーで製品企画開発、特許技術審査員兼相談員などを経験。退職後は公的就労支援機関を経て、特定非営利活動法人熊本県難病支援ネットワークに入職。難病患者を対象とした治療と仕事の両立支援に従事している。

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