ようこそ!患者会 乾癬の会(北海道)

ようこそ! 患者会

乾癬の会(北海道)

Support

現在、日本全国に24の乾癬患者会があり(2022年1月現在)、それぞれ独自に、乾癬に対する正しい知識、
患者同士の交流・情報交換、専門医を講師とする勉強会、会報やSNSによる情報発信などを行っています。
今回は、その1つである「乾癬の会(北海道)」の会長を務める稲葉匡彦さんにお話をお伺いました。

全国の患者会の中でも
最も歴史のある会のひとつ

「乾癬の会」は、全国で2 番目の患者会として札幌で誕生しました。中心となったのは北海道大学病院皮膚科、1992 年4 月19 日のことです。道内はもちろん本州からも参加があり、発足初期の会員数は約90 名に上りました。現在の会員は約250 名。中には、「息子や娘が乾癬患者なので、乾癬を勉強したい」と入会している父親や母親もいるそうです。
なお、正式名称は「乾癬の会」ですが、北海道の団体ということで、乾癬の患者会などのリストに記載の場合は、「乾癬の会(北海道)」としています。会としての目的は主に、①乾癬に対する正しい知識の提供、②乾癬の社会的認知への働きかけ、③乾癬の患者同士の交流を深め、患者と患者家族のQOL(生活の質)の向上を目指す、の3つです。

歴史も長く、会の活動の中でも人気の
豊富温泉湯治ツアー

発足から6 年目に入会し、現在は会長を務める稲葉匡彦さんは、こう話します。
「この十数年ほどで生物化学的製剤が次々開発され、乾癬の治療は目覚ましく進歩していますが、発足当時はそれほど治療薬がなく、乾癬は本当に知られていない病気でした」。
そこで、同会が患者同士の交流を図ろうと始めたのが豊富(とよとみ)温泉湯治ツアーです。
北海道の最北部、稚内市の南に位置する豊富町にある豊富温泉は、石油の試掘によって発見された温泉で、乾癬だけでなくアトピーなど皮膚の病気への効能があるとして全国に知られています。

会の設立の翌年である1993 年から毎年1回、10 月10 日ごろに開催しているこのツアーには、医師も同行し、湯治のほかに学習懇談会や個別相談も行われます。ツアーで使用する入浴施設「豊富温泉ふれあいセンター」は町営で、宿泊する旅館から徒歩で数分の所にあります。湯には保湿効果に優れる石油と殺菌効果のあるメタホウ酸が含まれ、近年は尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎の湯治湯として「奇跡の湯」とも呼ばれているということです。北海道で唯一「温泉利用型健康増進施設」に認定されています(2017 年7 月4 日)。一緒に温泉に入るという「裸のつきあい」のせいか、患者さん同士の絆を深めることにも大きな効果があるようです。開催は2022 年で30 回目になりますが、初回のツアーに参加した会員の中には、現在も参加している人がいるとのことです。
稲葉さんは、「湯治ツアーは、例年40 ~ 50 名前後が参加する目玉イベントです。コロナ禍のため、2020 年は参加者が少なく、2021 年はやむなく中止しましたので、2022 年は何とか開催したいと思っています。湯治によって必ずしも乾癬が良くなるとはいえません。治るか治らないかというよりも、患者同士が一緒に学び、情報共有しながら絆が深まることが大事だと思っています。その中で少しでも乾癬が良い状態になればと考えます」とツアーの意義を話します。

乾癬について正しく知ってもらうため
学習懇談会を定期開催

同会では、病気を正しく理解するための学習懇談会にも注力し、年4 回、春夏秋冬に開催しています。5 月には定期総会と合わせて学習懇談会を行い、8 月には(財)北海道難病連が主催する「難病患者・障害者と家族の全道集会」の分科会として乾癬の学習懇談会を行います。更に、10 月29 日の「世界乾癬デー」や11 月12 日の「いい皮膚の日」の前後にも学習懇談会を開いています。
「医療講演の講師には、北海道で乾癬に関して最先端の研究・治療をされている先生方に来ていただき、治療の現状や最新治療などについて学習します。講演の後の質疑応答も人気です。

また、時間があれば相談コーナーを設けて、個別の相談にも対応するようにしています。医師と患者という垣根を超えて話ができる機会は貴重なので、治療に対する意欲につながっていると思います」(稲葉さん)。
こうした活動を記録しているのが、会報誌『陽だまり』です。年3 回発行され、2022 年に85 号を越えました。内容は、会の運営についての報告のほかに、市民公開講座や講演会の講演内容の再録や、温泉療法について、会員からの投稿ページなど。会員には情報源として、また乾癬の手引書としても重宝されているそうです。

多くの仲間の存在に
精神的に助けられた
だから自分も患者さんを励ましたい

稲葉さんが入会した時、乾癬の会はすでに活動を展開していました。おおよそ30 年前のことです。
「私と患者会との出会いは偶然でした。乾癬が悪化したために街のかかりつけ医から大きな病院へ移った際に、病院で乾癬の学習会のポスターを目にしたんです。思わず、何の連絡もしないで飛び入り参加してしまいました。

そして、『こんなにも多くの仲間がいたのか』とびっくりするとともに、精神的に助けられた気がしたのです。ですので、今度は私が1人でも多くの患者さんと一緒に、乾癬の悩みや心配、治療に関して情報を共有していきたい、励まし合いたいと思い、患者会の活動にのめり込んでいきました。
これまでいろいろなことがありましたが、自分のことだけでなく他の人の悩み、苦しみ、幸せを共に分かち合える会を目指して、これからも歩み続けたいと思います」(稲葉さん)。
2022 年の活動としては、「5 月の総会・学習懇談会」、「夏の全道集会での学習懇談会(網走)」、「9 月28 ~ 30日の2 泊3 日の豊富温泉湯治ツアー」「冬の学習懇談会(札幌)」が計画されています。

役員OBや相談医が
会員からの相談に応対

現在、同会では、役員OB を中心に相談員を設け、会員からの相談にも対応しています。様々なSOS が寄せられるということです。
稲葉さんは、「私も相談員の1人です。ひとりで悩んでいても解決法が見つかりにくいことは多々あります。初めて相談する時は勇気がいるかもしれませんが、ぜひ相談してほしいと思います」と呼びかけています。
また、同会には、北海道大学や旭川医科大学などから14 名の相談医が在籍しています。学習懇談会などの講師を務めたり、湯治ツアーでの懇談会に参加して患者さんの相談に乗ったりと、全面的に会をバックアップしてくれているそうです。
「いろいろな先生方にご協力いただいているので、勉強会や懇談会に参加してもらえれば、乾癬に関する悩みを直接、先生方に相談することができる可能性があります。先生と話して、不安を払拭して、前向きに治療してほしいですね」(稲葉さん)。

「ひとりじゃないんだ」
という気持ちが
長期的な治療への支えになる

新型コロナの影響で現在は全くできなくなっていますが、学習懇談会が終わってから行われる交流会を楽しみにしている会員も多いそうです。
「飲食をともにしながら本音で話し合うことが、やはり大事です。最新の治療法を知ったり、病気との向き合い方や日常生活での工夫といった知識を増やしたりすることも大事ですが、“ひとりじゃないんだ”とわかって、同じ病気を持つ仲間と絆が深まることが長い療養生活を支えるエネルギーになっていくのではないかと思います。
私も会長になって早や17 年、今年77 歳になりましたが、当会に参加したことで寛解に向かう人が1人でも増えるよう、これからもがんばりたいと思います」と稲葉さんは力強く話しています。

「Rebrand Yourself vol.4」2022年11月掲載

エクササイズをはじめるなら
「明日の乾癬」アプリが便利

App Storeからダウンロード
Google Playで手に入れよう