診察室の参観日 関西医科大学附属病院 乾癬センター| 乾癬治療 【明日の乾癬 by UCBCares】

診察室の参観日

皮膚科、リウマチ・膠原病科、
循環器内科の3科を中心に
全身的・包括的な乾癬治療を実施

関西医科大学附属病院 乾癬センター大阪府 枚方市

提供:関西医科大学附属病院

関西医科大学附属病院が、全国で3番目となる「乾癬センター」を開設したのは2020年11月。
以来、皮膚の症状だけでなく、関節炎や心血管障害などの様々な病気を合併しやすい乾癬に対して、初診時から全身状態を把握する診療体制を整えている。同センターでは、どのような連携のもと、乾癬治療が行われているのかを、センター長(2021年11月1日取材日時点)の谷崎英昭先生に取材した。

乾癬は、皮膚症状だけでなく、
関節炎や心血管障害もある全身性の疾患

これまで乾癬の患者さんは、皮膚症状については皮膚科を受診し、関節の症状が出れば整形外科やリウマチ科を、眼の症状が出れば眼科を受診するのが一般的だった。しかし近年、乾癬と様々な生活習慣病の関連が明らかになり、乾癬患者に心血管障害が有意に高い頻度でみられることがわかってきたため1)、皮膚症状以外の全身的な症状に対し、個々の状態に応じた適切な治療を行うことの重要性が指摘されている。
関西医科大学附属病院 乾癬センターのセンター長(2021年11月1日取材日時点)を務める谷崎英昭先生は、「乾癬は軽症・中等症のうちに全身をくまなく観察し総合的に診断、早期に適切な治療を開始することで、予後が違ってくる疾患と考えています」と語る。

谷崎 英昭 先生

「乾癬はもともと合併症を起こしやすい病気として認識されてきました。実際、脂質異常症・高血圧・糖尿病・肥満などを抱えている方は多く、合併症を起こすと乾癬の症状が悪化するという悪循環に陥る傾向があります」。
中でも重症の乾癬患者さんは、心筋梗塞などの心血管疾患を発症しやすく、海外の大規模調査では平均寿命が約6 年短いと報告されている2)。同院ではセンター化する前から乾癬に対する全身管理に重点を置き、他科と連携しながら治療を行っていたという。あえてセンター化したことによるメリットについて、谷崎先生は、「患者さんが最初に皮膚科、リウマチ・膠原病科、循環器内科のどの科を受診されたとしても、情報は3 科で共有され、必要な診療科で一早く適切な治療を開始できるようになりました」と話す(図)。

総合的な視点からの検査により
未症状の疾患を発見・治療可能に

初診でも、必要であればその日のうちに皮膚科とリウマチ・膠原病科の2つの診療科を受けることができる。頸部や鼠径部のエコー検査、X線検査をはじめ、特に心血管障害のリスクが疑われる場合は、速やかに心臓の検査(冠動脈・心臓CT、心筋シンチグラフィ、心臓超音波検査)なども実施される。患者の自覚症状がない段階でもリスクを発見できれば、適切に対処し重篤な状態を防ぐことができる。
「たとえば、皮膚症状がやや強い、あるいは紅斑の面積が広い患者さんに血管エコー検査を行い、血栓が見つかったことがあります。それまで一度も胸の痛みを経験したことのない患者さんでも、心臓の冠動脈CT の結果、冠動脈が詰まりかけていることがわかったこともありました」。
また、関節炎は放置すれば手指が変形したり、日常生活が困難になったり、睡眠時の腰痛や足の痛みなどが出る。心血管障害が生じる可能性も高く、発症の早期把握が望ましい。
「一般に関節の炎症は、皮膚の症状が悪化した後に生じるケースが多いのですが、皮膚症状がさほど悪化しておらず関節の痛みもない患者さんの骨シンチグラフィを撮ったところ、関節部に炎症があることがわかり、リウマチ科の医師によって、早めに関節の治療を開始することができたケースもあります」。

様々な診療科が連携し多角的・包括的な治療を提供

同センターでは、乾癬治療のため、眼科や消化器科・糖尿病科・精神科・栄養管理科・放射線科・臨床検査科など、乾癬に関する幅広い知見を持つ各診療科が連携。谷崎先生は、「皮膚、関節、血圧や血糖値、そのほかの様々な症状について、どのようなアプローチをしていくのがベストかを検討し合い、包括的で質の高い治療を提供できる点も大きな特徴だと思います」と語る。
また、乾癬の場合、治療だけでなく、食事や運動、禁煙といった生活面の指導も不可欠である。同センターでは、個別の栄養指導や生活環境や性格に応じたリハビリ指導なども行っている。肥満の解消で乾癬の症状が緩和したり、乾癬の炎症を抑えると血糖値や血圧が安定するケースもあるという。
併せてメンタル面のサポートも積極的に行われている。
「見た目が気になって半袖を着られない、周囲の人に迷惑がかかるので温泉に入れないなど、身体的な苦痛のみならず精神的な苦痛も大きいものです。なかなか症状が改善しないことや治療が長引くことで気持ちが沈み、うつ症状を引き起こす場合もありますので、精神科と連携しながら早めのサポート開始に努めています」。
現在、各診療科の観点から乾癬を診ることのできる医療チームは少ないだけに、西日本において症例数が最多といわれる同センターが果たす役割は大きい。
「これまでに蓄積された症例を解析し、たとえば心血管の検査をしたほうがいい患者さんの症状の特徴や罹患年数などを見極めて、早期に治療を開始するなど、今後は予防的なアプローチがより大事になっていきます。乾癬における全身管理の道筋を示していけるのではないかと考えています」。

患者さんの心を支える治療を
地域の診療所と共に行っていきたい

乾癬と多様な疾患の関係性については、必ずしも医療関係者に熟知されているわけではない。
「全身状態が良くなる総合的なアプローチがいかに重要かを理解してもらえたら」と話す谷崎先生。こうした考えから、開業医との連携にも注力しているという。
具体的には、軽症~中等症の乾癬患者さんが安心して地域の皮膚科や整形外科などの診療所に通院できるよう、そして地域の医療機関でも全身状態のチェックをした上で予防的対策をとることができるよう、同センターでは2 ヵ月に1回、研修会を開催している。2020年からのコロナ禍ではWeb連携会議として続けてきたが、コロナが収まれば“顔の見える関係”を深めることができる対面型の研修会を積極的に行う予定だ。
「更にWebを活用したカンファレンスの取り組みを強化し、たとえば当院に紹介していただいた患者さんの検査データを見ながら、紹介元の診療所の医師と意見交換をしたり、その後の経過を共有したりしながら切れ目のない治療をしていきたいと考えています」。

患者支援への更なる充実を目指して

同センターでは今後、最新の体成分分析装置を導入する予定だ。同装置では、筋肉量、タンパク質、ミネラル、体脂肪を部位別に数値化できる。数値化すれば、栄養状態や運動不足を改善する必要がある患者さんの指標として非常にわかりやすく、運動意欲の維持につながることが期待される。
この機器の導入にも、生活改善指導を重視するという多科連携の視点が生きている。
「乾癬センターは、各診療科が力を合わせることで、将来起こりえる状態を見極めながら、具体的な対策をとっていける点が強みです。乾癬は長期にわたって上手に付き合っていかなければならない病気ですが、私たちは、院内外の連携を生かし、途中で患者さんたちの心が折れないように、様々な面からサポートしていきたいと思っています」と谷崎先生は結んだ。

「Rebrand Yourself vol.3」2022年9月掲載

参考:1) 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業乾癬性関節炎研究班: 乾癬性関節炎診療ガイドライン2019.
日皮会誌. 2019 ; 129(13): 2675-2733

2)Abuabara K, et al.: Br J Dermatol. 2010 ; 163(3): 586-592

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