治験での新薬との出会いが希望に| 乾癬物語【明日の乾癬 by UCBCares】
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CHAPTER 01
私の場合、治験では初回の治療ですぐに皮疹が治まり、分厚くなっていた爪が少しずつ薄くなっていくのを実感しました。そのときは、本当に安心して嬉しく「よかった…治るな」という気持ちになりました。
しかし、途中で前立腺がんが発見され、治験への参加を中断せざるを得なくなりました。本当に目の前が真っ暗になり、突き落とされたような感覚でした。すぐに同じ大学病院の泌尿器科で診察を受け、皮膚の治療をしたいから早く前立腺がんの治療をしてほしいと伝えて治療を受けましたが、治験を中止したことで皮疹や爪は元の状態に戻ってしまいました。その間、他の治療方法を受けましたが、私の場合はよくなった実感が得られませんでした。
治験を中止し、前立腺がんを経験して2~3年ほど経った頃でしょうか。治験で使われていた医薬品が承認され、病院で処方してもらえるようになることを知りました。その頃、皮疹の状態はひどく、一度よくなりかけた経験があるだけに、余計に悪化したような気持ちでした。
そこで私は、すぐに大学病院の皮膚科を再受診し、先生に治療方法について相談しました。検査を受け、治験で使用した医薬品による治療が開始されることになりました。それ以降、皮疹や爪の症状に改善がみられるようになりました。今は塗り薬も一緒に使用していますが、約10年間同じ医薬品での治療を続けることで、安定した状態を維持しています。
最近では、乾癬治療に使用される薬がたくさん出ており、自分にあった治療法や薬へ変更したという話を耳にします。私も一時、他の薬への変更を希望していましたが、主治医の先生から、今の薬の効果がなくなったわけではないこと、薬を切り替えることで体調に変化があらわれたり、症状が悪化したりする可能性があることを説明されました。また、今はコロナウイルスが流行しており、病院への通院や受診のタイミングが難しい状態にあることも踏まえ、様子を見ることにしています。
治療について、本やインターネットなどで知ることもできますが、正しく指導してくれるのは先生だと思っていますので、治療内容の希望も含め、先生に相談するようにしています。
爪や皮膚の症状が出はじめてからというもの、「たかが皮膚の病気」と思う一方で、「人から見られるのが嫌、人に会いたくない」という気持ちがずっとありました。しかし、乾癬は治らない病気だといわれていたため、その状態を受け入れるしかありませんでした。その後、治験をきっかけに新しい医薬品に出会い、症状がよくなるのを経験して初めて「治るかもしれない」と希望を持つことができました。
乾癬は治療の継続が必要な病気であり、私のよくなった状態は完治ではなく、寛解(かんかい:病気の症状が一時的に軽くなったり、なくなったりする状態)と呼ばれます。自分に合った治療をみつけ、症状がよくなったことで、私の気持ちは真っ暗なトンネルの中にいる状態から出口表示のある明るいトンネルを歩いている状態へ変わりました。とはいえ完治ではないのでトンネルを抜け出せてはいません。けれども、出口は分かった気がしています。
今は乾癬の新しい治療薬が数多く出ており、医師は患者さんに「治らない」なんて言葉は使いません。完全に治ることはなくても皮疹をなくすことができるようになり、乾癬は「コントロールできる病気」といわれるようになりました。私の場合、治験の中止により治療が中断し、皮疹も爪の症状も元に戻ってしまうという経験をしましたが、今のコントロールできている状態を一度知ってしまうと、もう元の状態には戻りたくありません。
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