乾癬の症状は関節にも出る? | 乾癬治療【明日の乾癬 by UCBCares】

専門医に聞く乾癬治療

乾癬の症状は関節にも出る?
治療のタイミングを逃さないためにも
知っていただきたい
「乾癬性関節炎(PsA)」

お話を聞いた先生はこちら

川崎医科大学附属病院
リウマチ・膠原病科

守田吉孝
先生

乾癬は皮膚の病気というイメージがありますが、関節にも症状がみられることがあり、
関節症状を伴う乾癬は乾癬性関節炎(PsA)と呼ばれます。
PsAでは、長期にわたって病態が継続・進行すると、
関節に損傷や変形をきたして日常生活に支障が出ることから、適切なタイミングで治療を始めることが大切です。
では、どのような症状がある場合にPsAを疑い、どこで診てもらえば良いのでしょうか。
また、検査や治療はどのように進められるのでしょうか。
PsAについて、川崎医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科の守田吉孝先生にご解説いただきました。

乾癬性関節炎(PsA)は乾癬の皮膚症状と同じしくみで発症する

PsAは乾癬に合併する関節炎であり、ひざや肩などの大きな関節や、手指の関節、足の指、アキレス腱、頚部などに腫れや痛み、こわばりを生じる病気です。日本人では、乾癬患者さんの10~15%に発症すると言われています1,2)
PsAを発症するしくみは、乾癬と共通しており、もともと乾癬になりやすい体質に様々な要因が重なることで免疫に異常が生じて発症すると考えられています(図1)。乾癬では、症状が出ていない皮膚に引っ掻くなどの刺激を与えると、その刺激をきっかけに新たな発疹が現れることがあり、これはケブネル現象と呼ばれています3)。そのため、髪の毛が擦れる頭皮や生え際、服の摩擦を受けやすいひじやひざなどに皮疹が現れやすい傾向があります3)。PsAでも同様に、外部からの刺激が発症のきっかけとなり、関節内で腱と骨が付着する部位に、筋肉の伸び縮みによる刺激が加わることで炎症が起こります4)。特に歩行などの日常動作による刺激を受けやすいアキレス腱や足の裏、ひざ、手足の指に関節炎が現れやすい傾向があります5)

図1 乾癬とPsAでは発症のしくみが共通している

手足の指全体が腫れる、複数の関節が同時に痛む時などはPsAを疑う

関節内で炎症が持続すると、関節はダメージを受け、変形をきたします。関節が変形すると、痛みがあったり動かしにくくなったりと日常生活に支障が出ることがあります。一度変形した関節はもとには戻らないため、病態が進行する前にPsAと診断し、治療を始めることがとても重要になります5)
前述の通り、PsAの関節症状は外部からの刺激を受けやすい部分に起こります。特に手足の一本の指がソーセージ様に赤く腫れて痛みを伴う指趾炎ししえんはPsAに特徴的な症状で、足指にみられることが多いです。アキレス腱、ひざ周囲の腱の痛み、手足の指先、特に第一関節の腫れや痛み、また手背の腱鞘に炎症を起こして手背全体が腫れてきたりするのもPsAに特徴的な症状です。頚部や臀部でんぶの痛みを訴えられる方もおられます(図2)。
これらの症状は体の1ヵ所だけに現れることもありますが、PsAの多くは多関節炎型であり6)、同時期に複数の関節で腫れや痛みが生じてPsAの診断につながることも多いです。

図2 PsAにおける代表的な症状

皮膚症状が軽度または寛解状態にある患者さんでもPsAを発症することがある

PsAにおいて関節症状が皮膚症状よりも先に現れることは11%と少なく、72.9%の患者さんが皮膚症状が現れた後にPsAを発症し、16.1%の患者さんでは同時に発症しているとの報告があります6)。特に、頭部や臀部に皮膚症状がある方、爪症状がある方はPsAを発症しやすく7)、また、皮膚症状が重い乾癬患者さんの場合でもPsAを発症しやすいことが報告されています8)。しかし、発症後の関節症状と皮膚症状の重さは直接関係せず、皮膚症状が軽くても関節症状が重いケースやその逆のケースも少なくありません。
私のこれまでの経験でも、乾癬の皮膚症状が寛解して数年がたってからPsAを発症した患者さんも多くいらっしゃいました。また、これまで乾癬と診断されたことがなかったけれどPsAが疑われる関節炎を発症し、探してみると実は頭皮に皮疹が隠れていたというケースもあります。乾癬と診断された経験がある患者さんでは、現在の皮膚症状の重さによらずPsAを発症する可能性があるため、関節の腫れや痛みなどの思い当たる症状があれば、病院を受診してほしいと思います。

PsAの診断では複数の検査を組み合わせるため、関節症状のある患者さんは、皮膚科医だけでなくリウマチ医にもかかることが望ましい

PsAと似ている疾患に関節リウマチや変形性関節炎などがあり、PsAよりも患者さんの数が多いです。PsAの診断では、これらの疾患としっかり区別する必要があるため、問診や触診、レントゲン検査で関節の状態を確認するほか、血液検査によってリウマトイド因子や抗CCP抗体などを測定し、関節リウマチではなくPsAによる関節症状であることを確認します。また、一部の患者さんでは関節超音波検査を実施し、関節内の炎症の状態を確認します。現時点では、ただちにPsAと診断できるような検査はないため、これらの複数の検査結果を組み合わせてPsAを診断しなければなりません。PsAの関節症状は症状に波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返すことも多く、また、あまり痛みを訴えない方もいます。皮膚症状をもって乾癬と診断されている患者さんは、関節に痛みが現れた場合はもちろんですが、過去に関節症状があった場合や関節に違和感がある場合でも、皮膚科だけではなく、「リウマチ科」や「リウマチ・膠原病科」にもかかることをお勧めします。なお、近くにリウマチ医がいない場合は、皮膚科や整形外科の先生に相談すると良いでしょう。

PsAの治療は飲み薬で開始し、効果不十分の場合には生物学的製剤が選択できる

当院のPsAに対する治療では、原則として飲み薬を使用し、効果不十分の場合に生物学的製剤を追加することを提案しています。飲み薬は、一部のごく軽度の患者さんでは非ステロイド性消炎鎮痛薬を使用しますが、多くの患者さんでは経口の免疫抑制薬で治療を始めます。免疫抑制薬とは、関節症状の原因となる免疫の異常を抑えるお薬です。免疫抑制薬を数ヵ月使用しても症状の改善が得られない、関節の炎症が治まらない場合は生物学的製剤による治療を患者さんに提案します。
生物学的製剤は、免疫抑制薬と同様に免疫の異常を抑えるお薬ですが、乾癬において炎症の原因となるサイトカインのはたらきをピンポイントで阻害するため、比較的すみやかに効果が発揮されるのが特徴です。ただし、生物学的製剤は注射剤であり、価格の面でも検討が必要であることから、患者さんの希望を考慮した上で導入するか否かを決定します。生物学的製剤の開始後に効果が安定してきたら、患者さんと相談しながら免疫抑制薬または生物学的製剤を減薬あるいは休薬することもあります。

関節の痛みなど日常生活への影響を感じたら医師に相談してほしい

PsAでは、関節症状が良くなったり悪くなったりをくり返しながら病態が進行していきます。症状が進行すると、関節の腫れや痛みそのものが日常生活に与える影響も大きな問題であると考えます。
生物学的製剤の登場以降、PsAの治療も大きく進歩し、関節症状に対する高い効果を期待できるようになりました。現在は治療選択肢が大きく広がり、効果や副作用だけでなく、利便性の面でもご自身に合った治療が選びやすくなっています。また、医療費については、助成制度9)の利用で抑えることも可能です。関節の腫れや痛みを感じたら、「時間がたてば良くなるかも」と我慢をせず、治療法やその医療費について一度医師に相談してほしいと思います。

参考 1)Yamamoto T, et al. J Dermatol. 2016; 43(10): 1193-1196

2)Yamamoto T, et al. J Dermatol. 2017; 44(6): e121

3)古江増隆ほか. ここまでわかった乾癬の病態と治療. 2016; 88

4)Schett G, et al. Nat Rev Rheumatol. 2017; 13(12): 731-741

5)日本皮膚科学会乾癬性関節炎診療ガイドライン作成委員会 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 乾癬性関節炎研究班: 日皮会誌. 2019; 129(13): 2675-2733

6)Ohara Y, et al. J Rheumatol. 2015; 42(8): 1439-1442

7)Wilson FC, et al. Arthritis Rheum. 2009; 61(2): 233-239

8)Ogdie A, et al. Rheumatology (Oxford). 2013; 52(3): 568-575

9)UCBcares 明日の乾癬 かんたんに学ぶ高額療養費制度
https://ucbcares.jp/patients/psoriasis/ja/content/1285078235/medical-expense-benefit

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